日本カテキン学会
トップページ > 日本カテキン学会の紹介
創立者 島村 忠勝
昭和大学医学部名誉教授
二十一世紀を迎え、地球環境の変化や我が国における少子高齢化などの社会構造の変化とともに、疾病構造にも変化が見られている。1960年代に制圧されたかに思われた感染症が最近、猛威を振るっている。HIVや病原性大腸菌による感染症が新たに発見され、また結核やインフルエンザは今なお制圧されずに、社会問題にさえなっている。他の疾病に眼を向ければ、糖尿病、循環器疾患、高血圧症などの生活習慣病がますます増加傾向を示し、悪性腫瘍は依然として減少しない。
医療と薬剤は本来、疾病の治療を目的として生まれたものである。しかし、今世紀の医学は予防医学の重要性を真摯に認識すべきであろう。悪性腫瘍については予防の時代にすでに入っているが、感染症や生活習慣病についてはいまだに緊迫感はない。ジェンナーの言のごとく、「予防はいかなる治療よりも優る」のである。高齢化が急速に進行する我が国では、医療費が増大し、日本経済の大きな問題の一つとなっている。予防医学の実践は医療費の抑制につながり、経済的にも貢献することになる。
一方、1980年代の後半から、茶の渋み成分であるカテキンが、生物学的実験に供されるだけの量、分離精製されるようになり、カテキンの機能が生体レベルから遺伝子レベルに至るまで解き明かされてきた。緑茶のカテキン、紅茶のフラボノイドには、殺菌作用、抗ウイルス作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、免疫増強作用などが確認されている。現在、国内だけでなく、国外の医学、薬学、農芸化学などの領域の研究者および臨床医によって、このカテキン、フラボノイドに関する新しい学際的研究が精力的に推進されている。特に、感染症、脳血管疾患、心疾患、悪性腫瘍、アレルギーなどについて、予防との関連においてカテキン、フラボノイドの医学的応用に向けての研究実績が蓄積されつつある。カテキン、フラボノイド学はまさに予防医学のためにあると言える。
以上の如き見地に立ち、茶の多機能性物質であるカテキンならびにフラボノイドについてより深く理解し、予防医学的臨床応用を目指す目的で、広範囲の研究領域の研究者や臨床医が研究した情報を一堂に会して交換する機会を持つことは、非常に有意義なことであり、カテキン、フラボノイド学および関連領域の科学の進歩に寄与し、国民の健康や社会に貢献するものと確信するものである。
現在、カテキン、フラボノイドを研究する学術団体は、静岡県内の茶学術研究会があるだけで、全国規模の学術団体はない。このような状況のもとに、日本カテキン学会の設立を強く望むものである。茶学術研究会は茶の生産技術から茶の文化や茶道まで広範囲にわたる茶の研究を対象とするものであるが、日本カテキン学会は、カテキン、フラボノイドの医学的機能を研究対象として、その臨床応用を最終目標とする学会であり、全国の医学および関連領域の産官学からの研究者が参加できる学会と位置づけたい。
日本カテキン学会は、新しい栄養素といわれるカテキン、フラボノイド(野菜や果物などの植物にも含まれる)の機能を研究する第一線の研究者および臨床医からなる学術団体で、産学協同研究も積極的に推進する。そして、学会員が一堂に会し、その最新の研究成果について報告し、討論する学術集会を毎年一回開催し、学会誌を発行する。本学会は、カテキン、フラボノイドおよび関連科学の進歩に寄与し、予防医学的臨床応用を目指し、国民の健康ならびに社会に貢献することを目的とする。
以上の日本カテキン学会の設立趣意をご理解いただき、学会活動にご参加、ご支援下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
1. 総則
- 本学会は日本カテキン学会と称する。
- 本学会は、茶成分やフラボノイドおよび関連科学の進歩を通して、人々の健康増進および社会貢献することを目的とする。
- 本学会の目的を達成するために次の事業を行う。
(1) 学術集会の開催
(2) 学術情報の収集と提供
(3) 国内外の関係学会との交流
(4) その他必要と認められる事業
- 本学会の事業を円滑に運営推進するために学会事務局を設置する。
2. 会員
- 本学会の会員は、正会員、賛助会員より構成される。
(1) 正会員 本学会の目的に賛同し、所定の手続きをとることによって正会員となることができる。ただし、正当な理由なく、2年間以上会費を納入しなかった場合、および本会の名誉を傷つけまたは本会の目的に反する行為を行った場合は役員会の審議を経て除名されることがある(学会員一般:3,000円、学生:1,000円)。
(2) 賛助会員 本学会の目的に賛同し、財政的支援を与える団体又は個人であり、年次学術総会に出席することができる。
3. 役員会
- 本学会に役員会を設置する。
(1) 役員会は、学会設立の目的に沿って、学会を運営する。すなわち、財政基盤などを含めた実務的な学会運営、年次学術総会会長の決定、会則の変更、ならびに国内外の関係学会との交流に当る。その構成員は12名以内(監事2名を含む)とし、正会員の中から選出され、任期を2年とし、再任することができる。
(2) 役員の互選により1名を代表役員とする。代表役員は必要に応じて役員会を召集することができる。
(3) 役員会は年1回開催され、学会が行う事業の実行について全責任を担う。役員会は委任状を含め全役員の2/3以上の出席をもって成立する。
(4) 会計監査は監事より2名選出する。
4. 総会
- 代表役員は年次学術大会の会期中に総会を召集する。年次学術大会会長は総会の議長となる。委任状を含めて全会員の1/3の出席をもって本大会は成立するものとし、役員会で審議決定された事項を報告し、議決または承認を得る。
5. 年次学術大会
- 年次学術大会は、年1回開催される。会長は年次学術大会を主催する。
6. 会計
- 本学会の会計年度は4月1日より翌年3月31日までとする。
- 本学会の経費は、年会費、賛助会員会費およびその他の収入をもって充当する。
- 収支の予算および決算は、役員会ならびに会務総会の承認を得なければならない。
- 監事による会計監査の上、年1回会計報告をする。
付 則
(1) 学会事務局は、静岡県立大学に日本カテキン学会事務局の名で設置する。
(2) 本会則は平成25年11月7日より施行する。
(3) 本会の年会費は正会員3,000円、学生会員1,000円とする。賛助会員会費は一口10,000円とする。
〒422-8526 静岡県静岡市駿河区谷田52-1 静岡県立大学 食品栄養科学部 食品衛生学研究室
catechin(ここに@をいれてください)u-shizuoka-ken.ac.jp
事務局 増田修一(事務局代表)/ 島村裕子、大石里香(事務担当)
TEL&FAX:054-264-5528